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2006年11月28日火曜日

いじめについて(その1)

これから書くことは、一つの仮説に過ぎず、「いじめ」の全てがこのように説明できると言っているのではないことをご理解頂いたうえでお読みください。

いじめについて考えることはとても難しいところがあります。

その理由は、いじめを定義することがとても難しいからです。


一般的に使われている「いじめ」という言葉を主語にして話をすると、その実体を曖昧にしたまま議論が進んでしまいがちになり、そこで目に付く「弱者と強者」という関係性ばかりに着目した議論に陥ってしまいがちなような気がします。

そこで、まず、「いじめ」という言葉を、排除する事を試みてみます。

いじめとは、単純に場合分けすると、次の4つの場合が考えられます。


受ける側の主観
働きかける側の主観
備考
(1) いじめられていないと感じること いじめていないと感じること  
(2) いじめられていないと感じること いじめていると感じること (注1)
(3) いじめられていると感じること いじめていないと感じること  
(4) いじめられていると感じること いじめていると感じること


実際の場面で(2)の状況があるのかどうかは分かりませんが、仮にあっても、本人が苦しくは無いので、特に考えなくても良いかもしれません。
(ただ、本人が「つらい」ということに気付いていないだけの場合も多いような気がします。(注1))

(注1)
本当は苦しいのに、苦しくないことにして、立ち向かっている場合があります。

それには、苦しくないことにしなければやって来れなかった事情があるので、自分が苦しいと感じていることに気付けず、成人した後に、神経症やうつなどの状態に陥って、ようやく気付くようなことが多いと感じています。

苦しい事に気付いた時の衝撃は大きいことが多いので、一人で解決しようとせずに、迷わず、他の人の力を借りようとした方が良いと思います。

ですから、一括りに表現してしまっている「いじめ」は、実は(3)か(4)の状況に区別できることを、まず、理解しておくことが大切です。

ただ、この表では、まだ、「いじめ」という概念から離れていないので、「いじめ」という言葉を、他の言葉で表現しようとしてみます。

この表を、「いじめられていると感じる」「いじめられていないと感じる」かという違いは、受ける側の人が「つらい/イヤだ」と感じるとき、そのような気持ちにつながった行為のことを、受ける側にとって「いじめ」と表現していると解釈してみます。

また、「いじめていると感じる」「いじめていないと感じる」という働きかける側の感覚については、相手に対して「親しみの感覚」があるかどうかによって区別できると考えてみます。


受ける側の主観
働きかける側の主観
(1) つらくない/イヤじゃない 親しみの感覚がある
(2) つらくない/イヤじゃない 親しみの感覚が無い
(3) つらい/イヤ 親しみの感覚がある
(4) つらい/イヤ 親しみの感覚が無い

このように表現してみると、「いじめ」という共通認識できる行為があるという雰囲気から離れて、個人個人の気持ちに焦点を当てて考えられるようになってくると思います。

(3)の場合、「いじめを無くす」為には、次のことをどのように実現するのかを、当事者同士が話し合えば、対処できそうな気がします。
  • 相手がどのように感じているのかを知る。
  • もし、その相手が「つらいと感じている」ということを知ったとき、その相手につらい思いをさせることは繰り返さないようにする
この場合の解決は、受ける側が「つらい」と感じていることを相手に伝える事から始まるということを念のために書き添えておきます。

しかし、(4)の場合は、更に掘り下げて考える必要があります。

相手に親しみの感情をもてないときに、人は、どのように対処する場合があるかというと、次の2通りが考えられると思います。

a).特に関わろうとしない

b).相手を排除しようとする

a).の場合は、一見、特に問題は無さそうなのですが、「受ける側の人」が、誰からも親しみを持たれなかった時に、孤立してしまう(ネグレクト)状況を生み出してしまう恐れがあり、その結果、辛く感じてしまうので、これもいわゆる「いじめ」状況を作り出してしまいます。

そこで、次の2つのことを理解することが大切だと考えています。


1).なぜ、親しみを持てない相手を排除しようとするのか?

2).どうして、誰からも親しみをもたれないようになってしまうのか?


この 1).と 2).を考えていくと、「いじめられる側」だけでなく、「いじめる側」の心も救われる必要性が浮かび上がってきます。

詳しくは、次の『「いじめ」について(その2)』で説明します。

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