トレーニングを積んだトップレベルの選手は、一般の人たちに比べたら随分速く走っているように感じますが、スタート直後から本人にとっての全力疾走をしていないことは想像できます。
生まれつきの身体的優位性はあるかもしれませんが、それに加えてトレーニングによって体を地道に鍛えています。
そんな鍛えた身体を基に、走るペース配分を考え、途中で水分や栄養を補充しながら、その時の自分の状態でのベストを引き出すことにチャレンジします。
そんなトップランナーが万全の準備を整えて臨むマラソン大会で、何の準備もしていない素人ランナーが、1位を目指して走り出すとどうなるかを、ちょっと想像してみます。
素人ランナーは、初めのうちは、もしかしたらトップランナーと同じペースで走れるかもしれません。
でも、500メートルも走れば、きっとクタクタになって、先には進めない状態になってしまうのではないかと思います。
素人ランナーが動けないでいると、トップランナーとの差は、どんどん広がっていきます。
そんなとき焦った素人ランナーが、「スタートのときは、あんなに快調に走れたのだから、やる気を出せば、また、同じように走れるはずだ!」と考えます。
(普通は、このようには考えませんが…(苦笑))
そして、気力を振り絞ってあの時のように全力で走り出しますが、やっぱり直ぐに動けなくなってしまいます。
それでも、「あのときは走れたのだから、また、あのときのように走れるはずだ」とこだわれば、最後は、マラソンを棄権せざるを得ない状況になってしまうでしょう。
この例で登場した素人ランナーが、このような結末を迎えてしまうことは容易に想像できます。心の苦しさから抜け出せなくなってしまっているときも、この素人ランナーと同じような状況に陥っているのです。
全力で頑張ってきた結果、もう頑張れなくなってしまったのに、「あの頃のように頑張れるようになりたい」と、また全力で頑張ろうとしてしまうのです。
その結果は、当然、頑張れなくなってしまうことは予想できると思います。
このような「走り出したら動けなくなる」、「頑張ろうとしたら頑張れなくなる」というような同じ過ちを、いつまでも繰り返さないためには、次の2つの事実に気付くことが大切です。
- あの頃の自分は全力で走っていた(頑張っていた)
- 全力で走ってきたら(頑張り過ぎたら)疲れてしまった
この2つに気付くと、心を休めたり体を休めたり栄養を補給したりできるようになります。
そして、その時々の自分の状態に合わせた走り方をしたり、心身への手当てをしたりしながら、日々生活すれば、人生というマラソンを自分らしく完走できるようになるのです。
最後にトレーニングの話です。
マラソンのトップランナーは、マラソンに備えて、様々なトレーニングをします。
同じように、人生というマラソンを走るにあたってトレーニングをするとしたら、どんなものがあるのでしょう?
たぶん、それは『心の苦しさを回復させるトレーニング(弱音を吐くトレーニング)』だと思います。
これが身につけば、適当なところで旨く手を抜いたり心身を休息させたりということも、適切にできるようになるはずです。
- 【参考】
- 「あの頃の自分」に戻りたい
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