この本を買った主な理由は次の3点です。
- 「売れているらしい」と知った
- タイトルに引きつけられた
- 各章の見出しが、私の考えに近いものが多かった
残念ながら、有名ではない私の本は大して売れてはいませんが、それでも「『心に関する正しい理解』を世の中に広めたい」思いながら過ごしていました。
そんなとき、この本のタイトルや章見出しを目にして、「やっと、出るべき本が出て、そして、売れているようだ。良かった!」と思い、書店で手に取りました。
ところが内容は期待とは随分と掛け離れたものでした。
まず、全体的な印象ですが、「この著者は、きっと悩んでいるんだろうな・・・」という雰囲気を感じました。
私は、この本を読んでいて心がスッキリするというよりは、むしろ苦しくなってしまい、読み進めるのが嫌になってしまったのですが、仕事だと思い直して、なんとか最後まで読み終えたというのが正直なところです。
各章には、素晴らしい標語を掲げてはいるのですが、それを実現するための具体的な方策は示されておらず、あたかも「標語を示したので、あとは各自が精神論で実現しなさい」と各章を締め括っておられるかのような感じを受けました。
人によっては、『今まで意識していなかったことを新たに問題だと指摘され、しかも、「あとは勝手にしなさい」と放り出される』という感じを受けて、解決しようとして本を読んで、逆に、悩みごとを増やしてしまうのではないかと少し心配になりました。
ですから、心に苦しさを抱えている人には、お勧めしません。
しばらく読んで、気持ちが苦しくなったとしたら、それ以上は我慢して読み進めない方が良いだろうと思います。
「本を読み進めていく内に、どこかで話が転換して、目からウロコがとれて心がスッキリする」という場面に遭遇することはたぶん無いと思います。
ただ、私が書いたこれらのことは、あくまでも私の個人的な感想ですから、この本によって心が救われる人もいるのかもしれないとは思います。
Amazonのカスタマーレビューも参考にされるとよいと思います。
【参考】 Amazonのカスタマーレビュー
次に、カウンセラーとして、ちょっとショックだった章のことを書きます。
「第5章 すぐに水に流さない」という章なのです。
詳しくは書きませんが、この章の内容を読んで、この著者は心理療法のことをあまり知らないか、あまり重視していないかのどちらかなのだろうと感じたことです。
昔の大学のカリキュラムや個人的な志向によってそのような理解になるのか、現在のカリキュラムでもそのような理解が主流になっているのかは不明なのですが、個人的な志向ではないとしたら、精神医療の世界は薬物療法中心になっているのだろうと想像してしまいます。
また、心の健康を扱う分野が、臨床心理は心理学、精神医療は医学というように分断されてしまっているとしたら、それはとても奇妙なことだと、改めて思いました。
この本を読んで、「じゃぁ、どうしたら良いの?」という気持ちになった時は、手前味噌で申し訳ないのですが、拙著「あなたにもある心を回復する機能」を読んでみて下さい。
きっと、その答えがあります。
別のブログで紹介している次の記事も、参考にして頂けると思います。
【参考】 Lesson 1 病名・症状名から離れる
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